好きな作家さん黒木亮氏。
とはいえ元早稲田の箱根駅伝ランナーで自伝的小説冬の喝采という作品しか知らず。
その道の大家の作家さんだが、
ビジネス作品というか経済小説というかはほとんど読まないので。
ただ本作は天草の飛行機の話ということで興味が出て読んでみた。
天草航空の顛末をすごい取材力で、関係者の方々の目線からこと細かく描写する圧巻の表現。
まあどこの会社も浮き沈みはあるし毎日が戦争のように大変だろうけど、
このようにぐいぐい読ませるが暖かい視線で書いてあり読者も会社の味方目線になり応援したくなる表現力はすごいとしか言えない。
一機だけで運営する航空会社の話なのだが後半は16年使った機体を買い替える話でそこの交渉の過程も読ませるところで、
新しい飛行機がやってくるのももちろん感動的なのだが、
引き取られていった元の飛行機が北欧の小さい会社でまた地方の島や半島の飛行場を飛ぶ場面で終わるのがグッときた。
良い読書だった。