角田さんのととの本からしばらく休んでた読書。
この本から再開。
前半は手紙形式で進んでいく。
18歳くらいの女性が主人公なのだが訳有ってまともな教育を受けたり他人とコミュニケーションをとったりしてこなかったので、妙に稚拙で何歳か分からない文から始まる。
何通か書くうち段々と成長し文が生き始める。
こういうところから桐野氏の面白さがある。
後半では他人とのコミュニケーションを禁じた母親の元を離れ、街で知り合ったアナとエリスという2人の少女と行動を共にすることになるのだが、
手紙から独白文に変わるのだがもう不自然な文章ではなくなる。
スリリングな展開が続き、ミステリー小説っぽくもなりちょっと昔の桐野節っぽくもなり、
以前からの読者としてはちょっとうれしい。
後半でやっと読者も主人公も気になっていた真実が明らかになるのだが、
原稿枚数が尽きたような中途半端感が残る。
それもそれで桐野氏らしくもある。
内戦とか難民とか重いテーマも含まれているがぐいぐい引き込まれて読みやすいしお勧め。