メンタル。

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ケニア!彼らはなぜ速いのか 読了。

著者は、マラソンなどの陸上競技においてケニア人、とりわけその中のカレンジン族が突出して強いという謎に魅せられて、ケニア人を研究している人々を訪ねてロンドンやデンマークへ行き、実際ケニアにも行ってしまう。

そういうルポ記事としても面白いがやはりランナーの端くれとしてはケニア人の速さの秘密が分かるのかどうかに興味が集まる。



前半に出会う大学の教授や学者たちは口の中の粘膜の標本を何千人と採って遺伝子から速さの秘密を探ろうとする。

また脚の脛の長さや脛の軽さに注目する人もいる。

カーマニア的視線で言うとバネ下重量の軽減か。

それと市民ランナーとしては見過ごせないのはケニア人選手は食べたり飲んだりする量が少ないからということ。

車体本体の軽量化。

”喉が渇く前に飲みなさい”はソフトドリンクメーカーの策略だという意見。

どれもケニア人だけ突出する決定的な差は無く決め手にならないというか。



そのほか高地で生活してるからとか長い距離を走って通学してるからとか裸足とか食べ物とか農耕や狩猟の歴史から来てるとか。

そのあたりは後半著者が実際ケニアに行き目で見てコーチと話し選手と走って検証する。

で高地生活、長距離通学、民族の歴史、は決め手にはならない。

上位を目指す選手たちは朝ご飯も食べず練習して主食のトウモロコシの粉を溶いて蒸したものを少し食べたり現地のミルクティみたいなのを飲んだりするだけ。



冒頭グレートリフトバレーという雄大な景色を前にする描写がある。

メキシコのタラウマラ族のことが書かれた”BORN TO RUN 走るために生まれた”にも雄大な渓谷の描写がある。

渓谷の民が足が速いのかも。

カバー写真には印象的な赤土の道を走るランナーたちの姿。

もう少しこのような写真が盛り込まれていたら良かった。



で結局著者はケニア人の速さの秘密を見つけることは出来ない。

しかし何箇所かのケニアのランナーのキャンプを回って見て話を聞くと、

ケニア人、とくにカレンジン族の気持ち心メンタリティのことに気付く。

裕福になるなら走るしかないと思うランナーの数の多さと、同じカレンジン族の仲間が出来てるなら自分も出来るはずという精神。

練習でも設定タイムを守らず競争になってしまうと言うコーチ。

この本は2008年頃出たもので最近は陸上競技においてはケニアエチオピアに追い越されそうになってる。

エチオピア人のほうがコーチの指示に従って練習メニューをこなすことが素直に出来るのかもしれない。

裕福になるならランナーになるしかないと思って走り出す人の多さと実際オリンピックなどで成果を出す人の数の対比を考えたら、

日本人もかなり速く走れる民族なものなのではないかと考えてしまった。



カレンジン族のことわざが書かれていた。

「優れた農夫も、そうでない農夫も、自分の土地しか耕せない。つまり、そんなことを考えてもしかたがないんだ。持っているもので、できるだけのことをやるしかないのさ。」

トップの選手も市民ランナーも同じということだ。



赤羽選手の引退レース、レース前々日の夕食になんとパスタ450gだという。

自分もレース前にはパスタ食べるが300g位が目いっぱい。

それでも身体が重い。

レース中にも指南書に書いてあるほどは飲めない。

レース当日の無理して詰め込んだ嫌な感じ。

逆にカーボしてないときの身体が軽いすっきりした感覚。

あのまま42KM走れればと思う。