孤愁

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サウダーデ孤愁 読了。
素晴らしい本だった。
日本人や日本の国土や風習の良さや美しさを再確認。
逆に今自分らが失い取り返しがつかないものもたくさんあるという喪失感も。
それもそれぞれが持つ孤愁というものだろう。
気象学者として気象庁に勤めながら文筆家として山岳小説の大家だった新田次郎氏。
孤愁サウダーデは1980年未完のまま亡くなった新田次郎氏の遺志を引き継ぎ次男の藤原正彦氏が後半を書いて完成させたもの。
数学者であり論文はあっても小説は書いたことがなかった正彦氏が引き継ぐことを決心してから三十数年、次郎氏が亡くなった歳になりやっと完成。
その間何度もポルトガルや徳島へ取材に行き次郎氏が残した取材日記などを頼りに完成させた。
実際読んでみても前半後半の違和感も無く特に正彦氏が書いた後半、主人公モラエスが神戸から徳島に移り住んでからの物語は美しく儚く。
この全編に流れる儚く切ない感情こそ孤愁であろう。