リスペクトする作家梨木香歩氏。
自分が取っている新聞で週1で連載されていたエッセイを纏めたもの。
日刊の連載小説はなぜか好きな吉田修一でも天童荒太でも津村記久子氏でも新聞ではほとんど読まず本になってから読もうと思う派。
しかしこの本は早くまとめて読みたかった。刊行からはかなり経ってしまったけれど。
やはり良い本だった。
木や草などの植物、小動物や鳥の描写。
一節、立ち枯れたウバユリに対して、
"消えていく一瞬前、立ち枯れるウバユリは、清々しく、ようやく自分の本質に到達できた、と思うだろうか。"
その後お父さまが闘病の末訪問介護を選択され自宅に帰ってきたから亡くなる記述がある。
"父がこの世の生を手放す数時間前と、手放した後の数時間、生と死のグレーゾーンを、私は彼と共に在った。"
なんて自分は何事にも無関心で無意味に日々を過ごしているのかと思う。
自分の前に現れる事象全てのことに対して本当はもっとちゃんと向き合わなければと感じた。